労災診療費算定基準(令和6年6月改定反映分)
労災診療費算定基準については、以下のとおりですが、当財団では労災診療費算定基準に関係する下記の図書を販売しています。ぜひご購入ください。
診療単価 |
課税医療機関 |
12円
|
非課税医療機関 |
11円50銭 |
労災保険指定医療機関等において、「療養(補償)等給付たる療養の給付請求書(告示様式第5号又は第16号の3)」を取り扱った場合( 再発を除く。)に算定できる。
ア 労災保険の初診料は、支給事由となる災害の発生につき算定できる。したがって、既に傷病の診療を継続(当日を含む。以下同じ。)している期間中に、当該診療を継続している医療機関において、当該診療に係る事由以外の業務上の事由又は通勤による負傷又は疾病により、初診を行った場合は、初診料を算定できる。
イ 健保点数表(医科に限る。)の初診料の注5のただし書に該当する場合は、1,930 円を算定できる。
ウ 紹介状なしで受診した場合の定額負担料(健康保険における選定療養費)を傷病労働者から徴収した場合は、 1,850 円を算定する。
救急医療管理加算 |
入院6,900円(1日につき) |
入院外1,250円 |
初診の傷病労働者について救急医療を行った場合に、上の金額を算定できる。
ただし、この算定は同一傷病につき1回限り(初診時)とする。なお、入院については初診に引き続き入院している場合は7日間を限度に算定できる。また、健保点数表における「救急医療管理加算」と重複算定することはできない。
ア 一般病床の病床数 200 床未満の医療機関及び一般病床の病床数 200 床以上の医療機関の歯科、歯科口腔外科において再診を行った場合に算定できる。
イ 健保点数表( 医科に限る。) の再診料の 注3 に該当する場合については、710 円を算定できる。
ウ 歯科、歯科口腔外科の再診について、他の病院(病床数 200 床未満に限る。)又は診療所に対して、文書による紹介を行う旨の申出を行ったにもかかわらず、当該医療機関を受診した場合の定額負担料(健康保険における選定療養費)を傷病労働者から徴取した場合は、 1,020 円を算定する。
外来患者に対する再診の際に、療養上の食事、日常生活動作、機能回復訓練及びメンタルヘルスに関する指導を行った場合にその都度算定できる。
入院基本料 |
入院の日から起算して2週間以内の期間 |
健保点数の1.30倍 |
上記以降の期間 |
健保点数の1.01倍 |
入院基本料の点数を、入院の日から起算して2週間以内の期間については、健保点数(入院患者の入院期間に応じ、加算する点数は含まない。)の1.30倍、それ以降の期間については、一律、健保点数の1.01倍(いずれも1点未満の端数は四捨五入する。)とする。
入院患者に対し、医療機関が病衣を貸与した場合に算定できる。
入院室料加算
入院室料加算は、次の①及び②の要件に該当する場合に③に定める金額を算定できる。ただし、健保点数表において特定入院料として定められている点数(救命救急入院料、特定集中治療室管理料等) の算定の対象となっている傷病労働者については、入院室料加算は算定できないものであること及び②のエの要件に該当する場合は、初回入院日から7日を限度とする。
①保険外併用療養費における特別の療養環境の提供に関する基準を満たした病室で、傷病労働者の容体が常時監視できるような設備又は構造上の配慮がなされている個室、2人部屋、3人部屋及び4人部屋に収容した場合。
②傷病労働者が次の各号のいずれかに該当するものであること。
ア 症状が重篤であって、絶対安静を必要とし、医師又は看護師が常時監視し、随時適切な措置を講ずる必要があると認められるもの。
イ 症状は必ずしも重篤ではないが、手術のため比較的長期にわたり医師又は看護師が常時監視を要し、随時適切な措置を講ずる必要があると認められるもの。
ウ 医師が、医学上他の患者から隔離しなければ適切な診療ができないと認めたもの。
エ 傷病労働者が赴いた病院又は診療所の普通室が満床で、かつ、緊急に入院療養を必要とするもの。
③医療機関が当該病室に係る料金として表示している金額を算定することができる。ただし、当該表示金額が次に示す額を超える場合には次に示す額
1日につき |
個室 |
甲地 |
11,000円 |
乙地 |
9,900円 |
2人部屋 |
甲地 |
5,500円 |
乙地 |
4,950円 |
3人部屋 |
甲地 |
5,500円 |
乙地 |
4,950円 |
4人部屋 |
甲地 |
4,400円 |
乙地 |
3,960円 |
四肢(鎖骨、肩甲骨及び股関節を含む。)の傷病に係る処置等の加算
四肢(鎖骨、肩甲骨及び股関節を含む。)の傷病に係る次の処置等の点数は、健保点数の1.5倍として算定できる(1点未満の端数は1点に切り上げる。)。
なお、手(手関節以下)、手の指に係る次のア、イの処置及びエの手術については、健保点数の2倍として算定できる。
また、次のエの手の指に係る創傷処理(筋肉に達しないもの。)については、指1本の場合は健保点数表における創傷処理の筋肉、臓器に達しないもの(長径5センチメートル未満)の点数(以下この項において「基本点数」という。)の2倍とし、指2本の場合は指1本の場合の点数に基本点数を加算した点数、指3本の場合は指2本の場合の点数に基本点数を加算した点数、指4本の場合は指3本の場合の点数に基本点数を加算した点数、指5本の場合は基本点数を5倍した点数とする。
ア 創傷処置、下肢創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)、穿刺排膿後薬液注入、熱傷処置、重度褥瘡処置、ドレーン法及び皮膚科軟膏処置
イ 関節穿刺、粘(滑)液囊穿刺注入、ガングリオン穿刺術、ガングリオン圧砕法及び消炎鎮痛等処置のうち「湿布処置」
ウ 絆創膏固定術、鎖骨又は肋骨骨折固定術、皮膚科光線療法、鋼線等による直達牽引(2日目以降)、介達牽引、矯正固定、変形機械矯正術、消炎鎮痛等処置のうち「マッサージ等の手技による療法」及び「器具等による療法」、低出力レーザー照射
エ 皮膚切開術、創傷処理、デブリードマン、筋骨格系・四肢・体幹手術及び神経・血管の手術
オ リハビリテーション
手(手関節以下)及び手の指の初期治療における機能回復指導加算として、当該部位について、健保点数表における「皮膚切開術」、「創傷処理」、「デブリードマン」及び「筋骨格系・四肢・体幹」の手術を行った場合に1回に限り所定点数にさらに190点を加算できる。
処置等の特例
消炎鎮痛等処置(「湿布処置」を除く。)、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射、介達牽引、矯正固定及び変形機械矯正術(以下「消炎鎮痛等処置等」という。)に係る点数は、負傷にあっては受傷部位ごとに、疾病にあっては1局所(上肢の左右、下肢の左右及び頭より尾頭までの躯幹をそれぞれ1局所とする。)ごとに、1日につきそれぞれ算定できる。
ただし、3部位以上又は3局所以上にわたり当該処置を施した場合は、1日につき3部位又は3局所を限度とする。
なお、消炎鎮痛等処置等と疾患別リハビリテーションを同時に行った場合は、疾患別リハビリテーションの点数と、消炎鎮痛等処置等の1部位(局所)に係る点数をそれぞれ算定できる。
固定用伸縮性包帯
算定額は、実際に医療機関が購入した価格を10円で除し、労災診療単価を乗じた額とする。
コンピューター断層撮影料
コンピューター断層撮影及び磁気共鳴コンピューター断層撮影が同一月に2回以上行われた場合であっても、所定点数を算定できる。
- 健保点数表の同一月の2回目以降の断層撮影の費用についての逓減制については、適用しない。
- 他の医療機関でコンピューター断層撮影を実施したフィルムについて診断を行った場合は、初診料を算定した日に限り、「 E203 コンピューター断層診断」を算定できるとされているが、再診時についても、月1回に限り算定できる。
リハビリテーション
指導・その他
職業復帰訪問指導料 |
精神疾患を主たる傷病とする場合 |
1日につき770点 |
その他の疾患の場合 |
1日につき580点 |
- 傷病労働者(入院期間が1月を超えると見込まれる者又は入院治療を伴わず通院療養を2か月以上継続している者であって、就労が可能と医師が認める者。)が職業復帰を予定している事業場に対し、医師等(医師又は医師の指示を受けた看護職員(看護師及び准看護師。以下同じ。)、理学療法士、作業療法士及び公認心理師をいう。以下同じ。)又は医師の指示を受けたソーシャルワーカー(社会福祉士及び精神保健福祉士をいう。 以下 同じ。)が当該傷病労働者の同意を得て職場を訪問し、当該職場の事業主に対して、職業復帰のために必要な指導(以下「訪問指導」という。)を行い、診療録に当該指導内容の要点を記載した場合に、入院中及び通院中に合わせて3回(入院期間が6月を超えると見込まれる傷病労働者にあっては、入院中及び通院中に合わせて6回)に限り算定できる。
- 医師等のうち異なる職種の者2人以上が共同して又は医師等がソーシャルワーカーと一緒に訪問指導を行った場合は、380点を所定点数に加算して算定できる。
- 精神疾患を主たる傷病とする場合にあっては、医師等に精神保健福祉士を含む。
- 訪問指導を実施した日と同一日又は訪問指導を行った後1月以内に、医師又は医師の指示を受けた看護職員、理学療法士若しくは作業療法士が上記アの傷病労働者のうち入院中の者に対し、本人の同意を得て、職業復帰を予定している事業場において特殊な器具、設備を用いた作業を行う職種への復職のための作業訓練又は事業場を目的地とする通勤のための移動手段の獲得訓練を行い、診療録に訪問指導の日、訓練を行った日、訓練実施時間及び訓練内容の要点を記載した場合は、訪問指導1回につき2回を限度に職業復帰訪問訓練加算として1日につき400点を所定点数に加算できる。
職場復帰支援・療養指導料 |
①精神疾患を主たる傷病とする場合 |
初回 900点
2回目 560点
3回目 450点
4回目 330点
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②その他の疾患の場合 |
初回 680点
2回目 420点
3回目 330点
4回目 250点 |
ア 傷病労働者(入院治療後通院療養を継続しながら就労が可能と医師が認める者又は入院治療を伴わず通院療
養を2か月以上継続している者で就労が可能と医師が認める者。下記イからオについて同じ。)に対し、当
該労働者の主治医又はその指示を受けた看護職員、理学療法士、作業療法士、公認心理師若しくはソーシャ
ルワーカーが、就労に当たっての療養上必要な指導事項及び就労上必要な指導事項を記載した「指導管理
箋」を当該労働者に交付し、職場復帰のために必要な説明及び指導を行った場合に月1回に限り算定でき
る。
イ 傷病労働者の主治医が、当該労働者の同意を得て、所属事業場の産業医(主治医が当該労働者の所属事業場
の産業医を兼ねている場合を除く。)に対して文書をもって情報提供した場合についても算定できる。
ウ 傷病労働者の主治医又はその指示を受けた看護職員、理学療法士、作業療法士、公認心理師若しくはソーシ
ャルワーカーが、当該労働者の同意を得て、当該医療機関等に赴いた当該労働者の所属事業場の事業主と面
談の上、職場復帰のために必要な説明及び指導を行い、診療録に当該指導内容の要点を記載した場合につい
ても算定できる。
エ 上記ア~ウの算定は、同一傷病労働者につき、それぞれ4回を限度(慢性的な疾病を主病とする者で現に就
労しているものについては、医師が必要と認める期間)とする。
オ 傷病労働者の主治医又はその指示を受けた看護職員、理学療法士、作業療法士若しくはソーシャルワーカー
が、傷病労働者の勤務する事業場の事業主等又は産業医から、文書又は口頭で、療養と就労の両方を継続す
るために治療上望ましい配慮等について、助言を得て、医師が治療計画の再評価を実施し、必要に応じ治療
計画の変更を行うとともに、傷病労働者に対し、治療計画変更の必要性の有無や具体的な変更内容等につい
て説明を行った場合に、1回につき600点を加算できる。
- 3か月以上の療養を行っている傷病労働者に対して、治ゆが見込まれる時期及び治ゆ後における日常生活(就労を含む。)上の注意事項等について、医師が所定の様式に基づき指導を行い、診療費請求内訳書の摘要欄に、指導年月日及び治ゆが見込まれる時期を記載した場合に、同一傷病労働者につき、1回に限り算定できる。
- 本指導は、医師が「早期社会復帰のための指導項目」に基づいて行うものであり、算定の際は様式に必要事項を記載し、診療録に添付する必要がある。
精神科を受診中の者に、精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケア、精神科作業療法、通院集団精神療法を実施した場合であって、当該患者のプログラムに職場復帰支援のプログラムが含まれている場合に、週に1回算定できる。
石綿関連疾患(肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚に限る。)について、診療計画に基づく受診、検査の指示又は服薬、運動、栄養、疼痛等の療養上の管理を行った場合に月2回に限り算定できる。
石綿関連疾患( 肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚に限る。)の診断を行った上で、傷病労働者に対する石綿ばく露に関する職歴の問診を実施し、業務による石綿ばく露が疑われる場合に労災請求の勧奨を行い、現に療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書(告示様式第5号)又は療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(告示様式第7号(1)) が提出された場合に、1回に限り算定できる。
健保点数表の診療情報提供料(Ⅰ)が算定される場合であって、医師又は医師の指揮管理のもと理学療法士若しくは作業療法士が作成した職場復帰に向けた労災リハビリテーション実施計画書(転院までの実施結果を付記したもの又は添付したものに限る。)を、傷病労働者の同意を得て添付した場合に算定できる。
創面が異物の混入、附着等により汚染している創傷の治療に際し、生理食塩水、蒸留水等を使用して創面のブラッシングを行った場合に算定できる。ただし、この算定は同一傷病につき1回限り(初診時)とする。
- 「大腿骨」、「下腿骨」、「上腕骨」、「前腕骨」、「手根骨」、「中手骨」、「手の種子骨」、「指骨」、「足根骨」、「膝蓋骨」、「足趾骨」、「中足骨」及び「鎖骨」の骨折観血的手術、骨折経皮的鋼線刺入固定術、骨折非観血的整復術、関節脱臼非観血的整復術又は関節内骨折観血的手術において、術中透視装置を使用した場合に算定できる。
- 「脊椎」の経皮的椎体形成術又は脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術において、術中透視装置を使用した場合にも算定できる。
- 「骨盤」の骨盤骨折非観血的整復術、腸骨翼骨折観血的手術、寛骨臼骨折観血的手術又は骨盤骨折観血的手術( 腸骨翼骨折観血的手術及び寛骨臼骨折観血的手術を除く。)において、術中透視装置を使用した場合にも算定できる。
電子情報処理組織の使用による労災診療費請求又は光ディスク等を用いた労災診療費請求を行った場合、当該診療費請求内訳書1件につき5点を算定できる(令和8年3月診療分まで。)。
頸椎固定用シーネ、鎖骨固定帯及び膝・足関節の創部固定帯
医師の診察に基づき、頸椎固定用シーネ、鎖骨固定帯及び膝・足関節の創部固定帯の使用が必要と認める場合に、実際に医療機関が購入した価格を10円で除し、労災診療単価を乗じた額を算定できる。
◎労災診療費については、厚生労働省ホームページ「労災診療費算定基準の改定について(令和6年度)」に詳細が掲載されています。ご確認ください。