問 11 通勤中の事故(第三者行為災害)
オートバイでの通勤の途中、交差点で左折するトラックに巻き込まれ、転倒して負傷しました。相手の保険から病院の治療代はもらっていますが、労災保険でも請求はできるのでしょうか。
答 11
労災保険関係の当事者(政府、事業主及び労災保険の受給権者)以外の方(第三者)による不法行為などにより、労働者の方が業務災害又は通勤災害を被った場合の災害を「第三者行為災害」といいます。
第三者行為災害の場合は、被災労働者等は第三者に対し損害賠償請求権を取得すると同時に、労災保険に対しても給付請求権を取得することとなりますが、同一の事由について両者から重複して損害のてん補を受けることはできません。
このため、労災保険法では次のように調整を行うことが定められています。
- 先に労災保険から給付を行った場合は、政府が給付の価格の限度で被災労働者等が有する損害賠償請求権を取得します。これにより政府は労災給付相当額を第三者に請求します(これを「求償」といいます。)。
- 先に第三者から損害賠償を受けている場合は、政府は労災保険の給付額からその額を差し引いて支給します(これを「控除」といいます。)。
今回の場合、すでに治療費は先方から支給されているとのことですので、労災保険からの給付は受けられません。例えばこの先、自賠責保険の限度額を超えた場合に、その分を労災保険に請求することや、休業がある場合には休業補償給付を受けることは可能です。特に、休業特別支給金は、労災保険のみの支給です。手続きについては、第三者行為災害届、事故証明などの提出が求められます。詳しくは、下記の参考をご覧ください。
参考:当財団発行
「改訂 やさしい労災保険ナビ」
厚生労働省HP
「第三者行為災害のしおり」